- column
節目に添えて
2005年1月15日
この日、小山のアパートの一室で
ナグは活動を始めた。
「いにしえフットケア 和ぐ」
という屋号をつけ、理学療法士の傍ら
子育て真っ最中の時期に立ち上げた。
とにかく経験が欲しかった。
このケアは素晴らしいという確信はあったが、人を説得できるような確証と、私の腕が足りてなかった為、とても焦りを感じていた。
どうしたら人に認められるか
とか
どこでならこの技術は受け入れられるか
とか
医療やリハビリに還元される術はないか
とか
宣伝や営業ってどうしたらよいのか
とか
毎日そんなことばかり考えていて
眠れない日がずっと続いていた。
血の道療法という言葉は独特で
宗教にハマってしまったのではないかと
周りを心配させてこともある。
なかなか理解されないやり取りが続いた為
後ろ向きになり口を閉ざしてしまった時期もあった。
とにかく事を起こそう。
そしてやり続けよう。
1人でもいいから体験をしてくれた方がどう判断するかはその人に委ねよう。
言葉でなく、体感で理解してもらおうという気持ちに切り替えて、自宅サロンからスタートした。
その頃は今ほどSNSも発達しておらず、ホームページを立ち上げることも無知な私にはままならなかった。
医療や治療ではないという事を伝えたいが
効果の程をうたわないと、人は見向きもしてくれない。
勝手にそう思っていたから、余計に悩み過ぎたかも知れない。
医療に依存的な世の中から、本当に大切な事は自分自身を取り戻す事だと思って初めた事と矛盾していたりもした。
はじめてのショップカード作りは
レイアウトやデザインと悪戦苦闘し1日が簡単に終わることもあった。
言葉をわかりやすくすることは、私にとって難解だった。
キャッチコピーは必要か否かから悩んだりもした。
そもそもこのようなものに向き合う事に大変なストレスがあった。
一方ケアの方は、こちらは本業だからと、緊張の中毎回張り切って、気合い入れてお客様と向き合った。
初めの期間はお試しという形で、周りの方々にたくさん協力してもらった。
何もかもが初めててテンパリそうな気持ちを抑え、基礎に忠実に丁寧に、でも時間をかけ過ぎず、自分の呼吸や姿勢に注意を払いながら、と
師範の教えの通りお客様に向かっていた。
その結果、思った以上の事が起こり始めた。
歩き方や姿勢の変化はもちろんのこと、体調の変化、巡りや身体の温かさを実感することで、思考や意識まで変化が及ぶ事があった。
これは経験を積めば積むほど目の当たりにする。
それはなぜか?を知りたくて
色んな分野での勉強を深め
血の道療法との照らし合わせを始めた。
ここにきて今更ながら、末梢を大切にする先人の知恵には頭が下がる思いだ。
今だに爪のケアの可能性に驚き、感動する場面が多々ある。
それらをもっと言語化できたらさぞかしいいだろうと思うが、私の頭の整理が追いつかず今に至る。
立ち上げていつのまにか
20年の月日が経っている。
結城に来ては18年目。
その間、サロンという空間作りや日々の清掃、洗濯、経理、スケジュール管理等
私にとって苦手なものを、家事や育児の傍らで毎日こなす事は負担にもなりうるものだった。
苦手なものが多すぎる。
人付き合いに至るまで頑張らないとできない。
なのに自分の理想は高くあり
とにかく毎日が必死だった。
でも今は違う。
あの頃があったからこその今かも知れないが、とにかく肩の力が抜けるようになって、それでいて感覚が鋭くなった気がしている。
「こうなりたい」と「こうしたい」には
大きな違いがある事にやっと気づいた。
そして、そのしたい!という気持ちに忠実である事には、それなりの感覚の良さが必要である。
それには、自分に正直であり、自分を愛し許し受け止める事ができてないと、選択を誤る危険性もあり
常に自分と向き合う事の大事さを学んだ。
もっと軽く、20年を振り返ろうと書き始めたが、こんなにも暑苦しい文章になってしまった。
まぁ、それを含めて私です。
心の中の情熱は未だ沸々湧いている。
何が大切か、何を伝えたいか
ずっとずっと考えながら過ごしている。
施術は毎回チャレンジだったが
今も新鮮な気持ちは変わらない。
なぜなら足の形や体型は1人として同じ人はいないから。
毎回様々な出会いと気づきがある。
楽しくて仕方がない。
本当に人の身体は神秘的で宇宙そのものだ。と思わせらる。
ここまで続けられたことは
対 人がいたからこそ。
心から感謝している。
では言い尽くせないくらいだ。
写真は、米粉を中心に素敵な材料で特別にフィト月堂さんに作っていただいた。
噛めば噛むほど素材の味が感じられる、甘くないけどとても美味しい焼き菓子。
お客様やご縁のある方に少しずつだがお配りしている。
心を込めてありがとうございます。
そして、どうぞこれからもよろしくお願い致します。
nagu fin
いなば あきこ